溶連菌感染症

風邪と勘違いしやすい「溶連菌感染症」に注意!

 発熱と“のど“の痛みがある場合、注意すべき病気に『溶連菌感染症』があります。溶連菌感染症は、A群溶血性レンサ球菌の感染で発症する病気です。風邪のように数日で症状は治まっても、しっかり治療しないと腎炎やリウマチ熱などの病気を起こすことがあり、注意が必要です。

症状

のどの痛みが強く(激しい痛み)、多くの場合は発熱をともないます。発熱してから、赤く細かい発疹が首や胸のあたりから全身に広がることもあります。
『イチゴ舌』という症状が出るのも特徴の1つです。舌をおおっている舌苔がはがれてイチゴのようなブツブツした赤い舌になります。また、回復期になってから、指などの皮がむけることもあります。
そのほかにも、頭痛、腹痛、嘔吐、首のリンパ節の腫れなどを伴う場合があります。

診断

当院では、溶連菌迅速診断キットを使って検査することができます。綿棒でのどの菌を採取し、10分以内に溶連菌感染症かどうかが分かります。

治療と経過

抗生物質を1週間〜10日ほど服用して治療します。飲み始めて2-3日で熱が下がり、のどの痛みも治まっていきますが、お薬は決められた期間、最後まで飲みきるようにしましょう。菌が体内に少しでも残っていると、病気が再発したり、腎炎やリウマチ熱といった合併症を起こしたりするので注意が必要です。
また、溶連菌は感染力が強いので、熱が高いあいだは、集団生活を休む必要があります。登校、登園の目安は、抗生物質を内服開始して24時間を経過し、解熱後、全身状態良好となったときです。

治療中の注意点

次のような症状を認めた場合は、腎炎やリウマチ熱などの合併症の可能性があります。すぐに病院を受診しましょう。

▶腎炎の症状:むくみ(特に顔)、おしっこに血が混じる、おしっこが出なくなる
▶リウマチ熱の症状:肩・肘・膝などの関節の腫れ、動機、胸が苦しくなる

溶連菌感染症のQ&A

Q.溶連菌感染症の治療後には、尿検査は必要ですか?
A. 最近は症状がなければ尿検査は必要でないという考えが主流になってきているため、当院でも通常は行っておりません。必要がない理由としては、
・尿検査で腎炎が見つかる事はほとんどない(4%以下)。
・見つけるためには検査は1回では不十分で何度もしなければならない。
・早期発見したとしても、むくみなどの症状がなければ治療が必要ない。
という事が言われています。

口(くち)呼吸

●口呼吸について
 本来、呼吸は鼻を通じて行う鼻呼吸が自然な状態ですが、なんらかの原因で鼻呼吸が妨げられると口で呼吸することになります。こどもの20%は口呼吸をしているといわれています。
こどもは鼻づまりを訴えないうえに、鼻づまりが慢性に続き、口呼吸が習慣となっていれば、本人は鼻づまり(口呼吸)で困ることはあまりありません。
しかし、口呼吸では鼻の持つ加温、加湿をする役目、呼吸のリズムを整える役目、細菌を防ぐ役目が損なわれてしまいます。原因を調べ、治療することで、鼻呼吸へと導いてあげることが大切です。

●口呼吸のチェック
下記のうち、あてはまるものが一つでもあれば、口呼吸をしている可能性があります。

・無意識のうちに口が半開きになる
・唇がカサカサに乾燥している
・口が乾きやすい
・風邪をひきやすい
・いびきをかく
・歯並びが悪い
・口臭が気になる

●口呼吸の原因
口呼吸は、鼻や鼻の奥(上咽頭)の病変によることが多く、次のような疾患があります。

・アレルギー性鼻炎
・鼻副鼻腔炎
・アデノイド肥大

●口呼吸の改善方法
(1)耳鼻科を受診する
 鼻やのどの病気がある場合は、まず耳鼻科での診察、治療が必要です。

(2)鼻呼吸を意識する
  息を吸うときは、唇を軽く閉じて、鼻で呼吸することを意識しましょう。

(3)口の周りの筋肉を鍛える
  食事をする際、よく噛むことを意識しましょう。一口につき30回以上が理想的です。メニューは、野菜を中心とした和食がおすすめです。カレーやパスタ、パンなどの洋食は、やわらかいものが多いため、よく噛まずに食べることが多いようです。ガムを噛んで筋肉を鍛える方法も効果的です。

●口呼吸のQ&A
Q.口呼吸を放っておくとどうなりますか?
A. 鼻で呼吸できない状態が続くと、顎の骨の発達に影響を与えたり、虫歯、歯茎の腫れ、口臭の原因になることがあります。また、注意力が散漫になったり、情緒が不安定になったりします。睡眠中の呼吸が妨げられる睡眠時無呼吸症候群の原因になることもあります。思い当たる症状がおありでしたら、一度耳鼻咽喉科へご相談ください。

ヘルパンギーナ

夏かぜ3大疾患の一つ「ヘルパンギーナ」

 ヘルパンギーナは、高熱と口の中の水ぶくれを特徴としたウイルス性咽頭炎です。主な病原はエンテロウイルスの仲間で、複数存在するため、何回でもかかってしまうことがあります。
  のどが痛むので、飲んだり、食べたりができなくなることがあります。また、高熱のため、水分が十分にとれないと脱水症になることもあります。

治療とケア

ウイルスによる炎症のため、特効薬はなく、症状を抑える治療が中心です。 熱やのどの痛みをおさえる薬を使います。
のどの痛みが強い場合、子供は飲食を嫌がりますが、脱水症状にはくれぐれも注意しましょう。食事は、ゼリーやプリン、そうめんなど、のどごしのよいものを用意してあげましょう。

経過

高熱は2-3日程度で徐々におさまり、口の中の水ぶくれも2-3日程度で表面が自然にやぶれ、1週間ほどで回復します。
ヘルパンギーナは、学校保健法による明確な登校停止基準がないため、本人が元気であれば、登校、登園してかまいません。ただし、症状が回復した後でも、3週間程度は便からウイルスが排出されるため、トイレ後の手洗いを徹底させ、タオルなどの共用は極力ひかえましょう。
子供に多い夏かぜですが、大人にもうつるので、子供の看病をする際は、手洗いやうがいをこまめに行うようにしましょう。

アデノウイルス

アデノウイルスとは?

 アデノウイルスは「風邪症候群」を引き起こす原因となる、比較的多くみられるウイルスの一種です。主に夏に流行しますが、一年中みられます。
 アデノウイルスは約50種類の血清型があり、それぞれの型によって症状が異なりますが、代表的なアデノウイルス感染症には下記のものがあります。

▶3型・4型 ・・・ プール熱(咽頭結膜熱)
▶8型    ・・・ はやり目(流行性角結膜炎)

症状

アデノウイルス感染症は次のような症状を発症します。

① 咽頭炎 : のどが腫れて、痛みが強く、食欲が落ちます。
② 結膜炎 : 目が痛くなったり、痒くなったり、目やにもみられます。
③ 高熱  : 38度~40度くらいの高熱が4-5日続きます。

治療

特効薬はありません。抗生物質が効かないので、対症療法(熱さましや痛みどめ)が基本です。脱水症状がみられる場合は、点滴をすることもあります。

潜伏機関と治療期間

感 染

潜伏期間(5-7日)

発 症 (3-7日)

回復期 (発症後2-4週間)

※回復期とは、ウイルス排泄期間でもあるので、症状が落ち着いても周りの人にうつしてしまうことがあります。気を付けましょう。

おうちで気を付けること

脱水にならないように、水分補給を心がけましょう。また、感染力が強いので、周りの人と密接な接触はなるべく避けましょう。おうちではタオルや食器を別々にするなど特に注意してください。熱が下がったら、入浴も可能ですが、お風呂でも感染するので最後に入るようにしましょう。

アデノウイルスのQ&A

Q.アデノウイルスの診断を受けました。いつから登校できますか?
A. プール熱の場合、学校伝染病第二種に指定されているので、主要症状が治ったあと2日間の登校・登園は禁止となります。